こんにちは!理系女子みどリンです🌿
先日、マクドナルドが“紙ストロー”を廃止し”バイオマスストロー”を導入すると発表しました。
地球に優しいと言われて導入された紙ストローは、「紙がしなる」「味が変わる」「本当にエコなの?」といった悲しい声も多かったですよね。
今回は、理系出身で環境問題を勉強してきた私が、環境に優しいストローについて考えてみたいと思います。
紙ストローが増えた背景
マクドナルド🍔やスターバックス☕️をはじめ、多くの企業が脱プラスチックの一環として2020年ごろから紙ストローを導入しました。
きっかけは、海洋プラスチックごみ問題。特に「鼻にストローが刺さったウミガメ」の映像が世界中に衝撃を与えました。
「プラスチックを減らそう!」という流れの中で誕生したのが紙ストロー。
でも実際に使ってみると──
「ふやける」「味が変わる」「唇にくっつく」
といった声も多く、“環境に良い=使いやすい”とは限らないという事実に気づかされました。
紙ストロー、なぜ問題なのか?
紙は自然素材で分解しそうですが、実際にはそう単純ではありません。
(1)製造時のCO₂排出が多い
紙ストローは木材パルプを圧縮し、防水コーティング(多くはポリエチレン系)を施します。
この工程で意外と多くのエネルギーと水が使われ、CO₂排出も発生します。
(2)リサイクルできないケースも
防水コートがあるため、リサイクル紙として再利用できないものが多く、最終的には焼却処分となることもあります。
→つまり、プラを減らしたつもりが別の環境負荷を生んでいることもあるのです。
代替素材①:PLA(ポリ乳酸)
PLA(ポリ乳酸)は、トウモロコシやサトウキビなどの植物から作られるバイオプラスチックです。
通常のプラスチックに近い見た目で、既に多くの飲食店で使用されています。

✅ メリット
- バイオマス由来なので、燃やしてもカーボンニュートラル
- 成形しやすく大量生産に向く
- 安価である
❌ デメリット
- コンポストなどの高温・高湿度の条件でしか分解しない
- 海や土壌ではほとんど分解しない
- 熱に弱く変形しやすい
→ PLAは「再生可能だけど、自然分解はしにくい素材」です。
環境に良いかどうかは処理設備があるかどうかに左右されますが、現状そのような設備は整っていません。この処理設備を作るにもエネルギーや建築材料が必要で、ここでも環境負荷が発生しちゃいます、、、

ちなみに、中国でもPLAストローを多く見かけました!
代替素材②:PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)
次世代の生分解性素材として注目されているのがPHA。
これは微生物が栄養を貯めるときに作り出す天然のバイオポリエステルです。

✅ メリット
- 海洋中でも土壌中でも自然に分解する
- 微生物が分解するので、水とCO₂に完全に分解されるため、マイクロプラスチック化しにくい
- 柔らかく、口当たりも良い
- 原材料が植物油であるため、バイオマス素材である
❌ デメリット
- 製造コストが非常に高い
- 大量生産体制が整っていない
- 微生物体内で生合成し、微生物の膜を破壊してポリエステルを取り出すため、倫理的に問題がある
- 原料の植物油は、ジェットエンジン用のバイオ燃料や食用油と競合する
→ PHAは理想的な素材ではあるが、コスト面が最大の課題です。
5. 代替素材③:酢酸セルロース(アセチルセルロース)
ここ数年で注目されているのが酢酸セルロースストロー。
これは、木材パルプや綿花などのセルロースに酢酸を反応させて作る素材です。
実は、メガネのフレームやタバコのフィルターにも使われている、身近な樹脂です。
✅ メリット
- 海洋中でも土壌中でも生分解する
- 原料は非可食バイオマスであり、食糧と競合しない
- 強度・透明性が高く、口当たりも良い
- 見た目・使い心地はほぼプラスチック
- 抗菌性がある
❌ デメリット
- 完全な自然分解には時間がかかる
- 製造コストが紙より高い
→ 酢酸セルロースは「紙より丈夫、プラよりエコ」な中間的存在です。
最近は釣り用のルアーや高級ホテルのアメニティなどで導入されています。
そのほかの素材ストローたち🍃
| 素材 | 特徴 | 短所 |
|---|---|---|
| 竹ストロー | 自然素材・再利用可・風味が良い | 高コスト、管理に手間 |
| ステンレスストロー | 繰り返し使える、清潔 | 持ち歩きがやや不便 |
| ガラスストロー | 美しい見た目、洗いやすい | 割れやすい |
| シリコンストロー | 柔らかく安全、子どもにも◎ | 匂い残り・菌付着の可能性 |
| パスタストロー | 食品素材で完全分解可能 | 長時間使用に不向き |
理系女子の結論:素材だけでなく“ライフサイクル”も考える!
エコ素材で環境問題に立ち向かうには、「何で作るか」だけでなく「どう使って、どう捨てるか」についても考えることが重要だと感じています。
たとえば:
- 紙ストローはエコであると考えがちだが、1回で使い捨てすればエコではない
- PLAも、分解設備がなければ意味がない
- ステンレス製ストローやシリコンストローのように繰り返し使う方が、結果的に環境負荷が小さい
私は自分専用のシリコンストローを持ち歩いています。
どうしても使い捨てにしなくてはならない場面では、PHAや酢酸セルロース製のものが普及したらいいなと考えます。
最後に:エコは「科学×行動」で進化する🌎
紙ストローについて考え、見えてきたのは、
「環境に優しい素材」=「万能」ではないということです。
そして、大切なのは、科学的な知識をもとに自分にとって最適なエコを自分なりに選ぶこと。
素材も技術も日々進化しているから、私たちの選び方もアップデートしていく必要があるかもしれませんね♪
理系女子として、これからも環境問題や科学技術について発信していきたいと思います🌱
最後まで読んで下さりありがとうございました!

